jskさんに連載していただきました!
1話から4話
折れたニンジン(PDF)
ひき肉事件(PDF)
ウナギのたれです!(PDF)
妹のお友達のです! (久々の鑑定)(PDF)
第一話 折れたニンジン
山田海月(やまだみつき)
私は売れない占い師。 へへ、私の事をみんなこう呼んで励ましてくれるんだ。 売れない占い師なんていやだなと思う時もあるけど、でもそれほど気にしていない。きっとそのうち小さなつぼみが咲く時がくる って、さ。 ところで占い師の人ってホント見かけは怖そうだけど、いい人もいるじゃんと思うんだ。 ある日、私はいつものように占いのお仕事に出かける。あ、いけない。ウサギのウサコにエサを忘れてしまった。私は隣の席に 座ってる占い師さんにささやく。すると「いいよ、ウサコのエサあげてきなよ」って言ってくれた。私は「エサはいつもスーパーで キャベツの葉をもらってきて、あげるんだけど今日はそれがないんだ」とその占い師さんに訴えます。 だって売れない占い師のだから、生活も大変厳しい状況なんです。隣の占い師がごそごそしたかと思うと折れたニンジンをそっ と出しました。「どうされたんですか?」と尋ねると、「何言ってるの、あんたのウサコの為に買ってあげたのよ」。 「ええっ、私の為にですか?」「そうよ、困っている時は助けあいよ」「でもなんでニンジン折れてるんですか?」。私は気になって 仕方ありません。 「私がレジに行く前に折ったのよ。こうすればお店の人も傷ものだからと安くしてくれるでしょ。安く手に入れる魔術さ」「誰かに 見られなかったですか。そんなことして大丈夫ですか?」 「貴方のウサコが可愛いからよ。誰が見てようと平気よ」。そう言って折れた(折った?)ニンジンをくれました。私はともかく、そ そくさとウサコの元へニンジンを持っていきました。 ウサコは今日は違うエサなので、とても嬉しそう。私も微笑ましいです。隣の占い師さんのお陰です。 でも、折れたニンジンはいったいいくらだったんだろう。30円、50円、60円? 隣の占い師さんはいつもこんな感じでお買い物 してるのかな? 年金暮らしだと言っていけど、日々の生活が大変なのかな。私は何をお礼したらいいんだろう。考えることば かりです。 …これは、ホントに小さな小さな出来事ですが、隣の占い師さんは見かけはとっても怖いけど、心はホットコーヒーのような人で すよと言うお話です。 ホットコーヒーのような人ってどんな人かは、聞かないで。隣の占い師さんみたいな人のことなんですから
第二話 ひき肉事件
山田海月(やまだみつき)
私は売れない占い師。 へへ、私の事をみんなこう呼んで励ましてくれるんだ。 きっとそのうち小さなつぼみが咲く時がくるって、さ。 今日もまた、いつものように占いのお仕事です。 前回と同じ怖そうだけど☆☆☆占い師さんと一緒です。 「おはようございます」の挨拶に続いてこの☆☆☆占い師さんとの雑談が始まります。 そうそう、☆☆☆占い師さん(面倒なので以後は星三つ=ホシミさんと書きます)、ホシミさんはハンバーグが大好きです。レスト ランに食べにも行きますが手作りもお手のもの。あらあら、さてさて、ひき肉事件です。ラジオから流れるニュースです。ホシミさ んが買ったひき肉に、なんとお肉以外な物が入っていたという事件です。 ホシミさんもおおあわてです。パニックってます。 ちなみに私はと云いますと、貧乏占い師の為、ひき肉を買いません。買うのはかたまりの豚肉か鶏肉。それを、薄切りにした り、ミンチにしたりするので、異物とは無縁です。 ホシミさんは二度と買うもんかといって、お客さん対応にもテンション高めです。まるで誰かに八つ当たりしている様子。当然で すが、私にもとばっちりがきそうな気配。やばいなぁと思っているとお客さんです。 今日はそんな調子でいつもより少しですが忙しくて、内心ほっとしています。なぜならひき肉事件のとばっちりでの「テンション 低低」は嫌だからです。 人間というのはなぜだか楽しい話が好きだからです。 こうやって、売れない占い師でも真面目にコツコツやってるとお客さんが少しずつでも増えてくるものだ。 こんな日は特にお客さまさまです。 今日は怖そうな占い師さんはさらに怖そうに見えた日でもありました。 そして、今日の教訓です。 ひき肉は信用出来るお店で買いましょう~というお話しです。
第三話 ウナギのたれです!
山田海月(やまだみつき)
今日もそそくさと占いのお仕事です。 「おはようございます」から始まる、いつもの怖そうな占い師、ホシミさんと一緒です。 朝一番からホシミさんはお客さんです。忙しく働いています。え、なぬ、ホシミさん、笑ってる?! 恐そうな占い師、ホシミさん の不気味な笑顔です。 ホシミさんの不気味な笑顔で思い出しました。ウナギの話です。 以前ホシミさんから聞いたウナギのお話しをしようと思います。 ホシミさんは交友関係が広くイベントのお仕事もしています。あるイベントのお仕事をしたときのことです。「イベントに参加してく れたお礼」ということで地下のウナギ屋でうな丼をご馳走してもらったのです。このことをホシミさんは嬉しそうに話してくれまし た。ウナギと言えば、ランチでも2000円はするのでしょうか、お昼から豪華です。 私は貧乏占い師なのでウナギは盆と正月しか食べません。 いつだったか知り合いにどうしてもウナギが食べたいと相談したんです。そしたら、ウナギのたれはどう、というのです。「ウナギ のたれとご飯ですよ」。私は聞き返します。「え、ウナギのたれとご飯ですか?」 「おいしいから食べてみたらどう」というので、ウナギのたれを買いました。100円くらいだったでしょうか。 ところが、想像以上にいけます。おいしいではありませんか、これが毎日続くとなるとなんだか悲しく切なくなりそうですが、もう 少し工夫をすればご馳走になりそうな感じです。そうですよね、スーパーのお値打ちなウナギでも、工夫次第で美味しいウナギ になり、美味しいご馳走になります。テレビ番組でスーパーのウナギが美味しくなる魔法を見たときは目からウロコな気持ちに なりました。貧乏な私でもなんだか、手が届きそうでうれしくなりました。お金のゆとりではなく、心のゆとりを感じ、とても微笑ま しくなりました。 ホシミさんは地下のウナギはおいしかったと言ってました。私もいつか貧乏占い師から売れっ子?占い師になれたならウナギ 3人前を頼み、よく頑張ったな、って自分を褒めてやろうと思います。 今回は、ウナギのたれとご飯は自分が思ってたよりもいける、毎日食べるのにはちょっとどう? って言うお話しですが、苦労し てない人は聞き流して下さいね私は、小さなつぼみでもいつか必ず花が咲くと信じて、これからも占いの勉強をしていきます。 大きな声でいうのは恥ずかしいのですが、いつかきっと飛躍出来る日が来ることを願っております。
第四話 妹のお友達のです! (久々の鑑定)
山田海月(やまだみつき)
今日は朝早くだというのに、いつもの「恐そうだけど」のホシミさんが来る前から、久々のお仕事です。ホント云うと、ちょっぴり緊 張しています。なんせ妹の友達だからです。来ました、鑑定開始です。 泣きながらお店にやって来ました。年齢は18才。アルバイト先で知り合った男性から誘われ、「とても素敵な身体だね」と言わ れて何度か関係を持ったと言うのです。相手はとてもイケメンなのですが、ちょっと強面(コワモテ)の人です。男が云いました。 「○○ランドのバイトなら今の時給の数倍はもらえるよ」。 妹の友達は泣きながら訴えます。 「わたし、生活が苦しい訳ではないし、いまの時給900円で充分です。イケメンの彼はわたしに○○ランドで働いて欲しいと言い 出すから、なんだか彼がヒモのように思えたり、ヒモに見えてきたり、頭がパニックで、涙があふれとまりません。別れ話もしまし たが、別れてくれません。それどころか『学校辞めたら、もっと稼げるよ』と云ってきます…」。 わたしは妹の友達に云いました。「イケメンの彼が好きだということと、風俗で働くこととは話しが違います。あなたはは学校を 優先し、今のバイトで充分なのだから、風俗で働く必要はありません。仮にの働くことになったとしても、それは本人が納得して の事です。最悪、あなたは未成年なので、警察に駆け込むという方法で自分を守ることもある。そう頭において欲しい」 そう伝えました。 危険なドラッグを「ダイエットの薬だ」といって手に入れてくる場合もあるし、イケメンの彼が直接扱っているかも知れない。なん だか危険だらけな気がします。 だから、彼とは夜に会うのではなく、アルバイトの休み時間のお昼間に会うとか、2人きりではなくお友達と一緒に会うとか、ちょ っと考えた方がいいと伝えました。 彼女は困惑しているのかどうかわかりませんがずっと泣いているので、わたしの話しをどこまで聞いているか、心配です。で も、わたしに何もかも話してくれて、今後の事を冷静に考えてくれれば、占い師としてしてではなく、安心です。「人間の運命や 運勢は自分の心がけ次第で変わる」ということを伝えしました。「どうか最悪の結果となる前に誰かに相談して下さいさいね。あ なたが不幸にならないよう願っています。」 とは云ったものの、こ~ゆう場合、鑑定料はいくら貰えばいいのか、考えてしまいました。あっそうだ。学割ということにして、ち ょっとオマケすることにいたしました。だって妹の大事なお友達なんですからね…。
2018 04 30
リニューアルいたしました。